ソロモンの指輪 (コーンラッド ローレンツ), ウクライナ, ロシア そして世界秩序

その本のあとがきのところに、作者のローレンツ氏が、大量破壊兵器を持つようになった人類についての懸念を表明していたのを、なんとなく覚えています。

彼は動物行動学の学者です。
彼の懸念は、人類が大量破壊兵器の ” 力 ” を、オオカミのように、ちゃんと抑制的に使えるのかどうかということです。

オオカミは群れを作ります。そして群れのなかで時折、若いオスがリーダーに戦いを挑みます。しかし多くの場合、その若いオスはリーダーに取り押さえられます。
リーダーはその若いオスの首にかみつく寸前のところで鋭い牙を見せているあごを開けたまま止めて戦いを終わらせます。リーダーは、そこで首を噛んで殺すことはしません。

群れのメンバーを失うことは、群れで狩りをするオオカミにとって、戦力の減退を意味します。同時にしかし、群れの階層を一貫して維持する必要もあります。

ここで、もう一つ別のタイプの動物があります。鹿の一種(名前は・・・忘れました)で自然にいるときは群れを作らないタイプの鹿です。
それで、この鹿を何頭かフェンスで囲まれたところに入れると、あるオスが他の鹿をメスや小鹿も含め、角で殺し始めます。

自然の中では、この鹿は広範囲に分散していて、各個体間の距離が十分に保たれているため、食べ物をめぐっての競合が起きないようになっています。
ところが、この距離感が失われたとたん、食べ物をめぐる競合は避けられず、ゆえにオスが他の個体を殺し始めるのだと理由付けられています。

われわれ人類は他者を必要とします。もしこの上述のようなオオカミの考え方を我々に適用したら、ウクライナ戦争はどういう解釈になるでしょうか。

ロシアはこれまで、すべてのウクライナ人を殺してはいません、そして同時に、その力を誇示しています。これは、この状況は、オオカミのリーダーがやっていることと同じでしょうか。

いや、いや!全然違う!

オーケー!じゃ、もし、ロシアが巨大な軍隊を国境線上に張り付けてウクライナを脅すだけだったら戦争にはならなかっただろうか。オオカミのリーダーが牙をむいて、若いオスを威圧しつつ決して殺さずに群れの秩序を維持したのと同じように。

いいや、それも違う!

わかった、じゃ、ロシアがウクライナ人を皆殺しにすることで、争いの根を絶つことができたでしょうか。ローレンツ氏が例に挙げていたあの鹿の話のように。

もう、いいよ!たくさんだ!むりっ!おれってほんとバカ。

まず最初に、人類は、もはやそのような野生動物と同列に考えられない。
戦争というものは、もはや、グローバルな社会には適合しない。
もし、現在の人類の行動をローレンツ氏が動物行動学的な手法で分析したら、彼は、人類はいまや戦争を放棄したと言うでしょう。そして、人々を殺すことは、オオカミの牙や鹿の角と同じことではないと言うでしょう。

我々人類は、今や動物行動学では扱えなくなってしまった。

ローレンツ先生、戦争を完全に排除できる世界秩序の作り方を教えてください。我々はあなたのすばらしい研究の中に、その知恵を、どうしても見出すことが出来ませんでした。

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投稿者: taka8taka8

I am a middle aged man who cannot stop creating something in my imagination.

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